突然ですが、「先輩」「後輩」という日本特有の人間関係を知っていますか?

日本の漫画や小説、アニメなどを見ていると、「先輩」と呼ばれる人と「後輩」と呼ばれる人がよく登場するので、単語自体は聞いたことがあるという方も多いかもしれません。実はこれ、物語の中だけの話ではなく、日常生活に当たり前に存在する人間関係なのです。

そこで今回は、「先輩」と「後輩」がどのような関係なのか、どのような場面で使われるのかをご紹介します。また後半には、「先輩」「後輩」以外にも、人間関係にまつわる日本語もいくつか紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください!

先輩・後輩とは?

アニメ、映画、ドラマ、漫画、小説など日本の娯楽が好きな人、また触れる機会の多い人は、「先輩」や「後輩」といった言葉になじみがあるかもしれませんが、今一度どのような人のことを指す言葉なのかを確認しておきましょう。

まず、「輩」は自分よりをいく人、つまり年上の人や、年齢は関係なく自分の通う会社や学校などに自分より先に入った人のことを指します。一方で、「輩」は自分のをいく人、つまり年下や、自分の通う会社や学校に後から入ってくる人を指します。

例えば、自分が今4年制大学の2年生だとします。すると、同じ大学の3、4年生は「先輩」で、1年生は「後輩」ということになります。 会社の場合も同じです。自分が今入社2年目だとすると、同じ会社の入社3年目以上の社員は「先輩」で、1年目の社員は「後輩」ということになります。

先輩・後輩の関係性

言葉の意味が分かったところで、今度は先輩と後輩がどんな関係なのか、どんな場面で使われる関係なのかを見ていきましょう。

まず先輩と後輩は、先輩が上、後輩が下の上下関係です。日本には古くから、年上を敬うという文化があります。多くの場合、先輩が年上で後輩が年下になるので、この上下関係もその文化からきています。また、後輩は先輩に敬意を持って接するべきという暗黙の決まりもあります。このような背景を知った上で改めてアニメや漫画、ドラマなどを見てみると、後輩が先輩に敬語を使っている場面が多く見られる理由も分かりやすいのではないでしょうか。

そんな年上を敬う文化が根強い日本ですが、子供のころから先輩・後輩といった上下関係があるわけではありません。一般的に、先輩・後輩の関係ができあがるのは中学生くらいからです。日本では、中学校から「部活動」と呼ばれる課外活動が始まり、多くの日本人はここで初めて先輩・後輩という上下関係に触れることになります。通称「部活」とも呼ばれるこの活動は、同じ学校の生徒が共通の趣味を元に授業時間外に集まって行う活動で、「バスケットボール部」「バドミントン部」「水泳部」「美術部」「吹奏楽部」「茶道部」など様々なスポーツや文化活動の中から、自分がやりたいもののチームに入部できます。そこでにそのクラブに入った輩とから入ってきた輩という上下関係が自然とできあがります。

中学校だけではなく、高校や大学でも部活はありますし、部活に限らず、同じ学校の生徒であるというだけでも先輩後輩の関係が成り立つこともあります。また、会社に入れば入社した年によって先輩後輩という関係が成り立ちます。

先輩は楽な立場?

ここまでの話をまとめると、「先輩は自分より先に行く人」で、「後輩は先輩を敬うもの」となり、ここだけ見ると先輩はかなり楽なものに思えるかもしれません。しかし、後輩の面倒をしっかり見て、適切に指導できることが良い先輩の条件なので、先輩という立場も消して楽なものではないのです。無条件に尊敬される人がいないように、先輩という立場でもただ自分勝手に威張ってるだけでは、後輩にしたわれる先輩とはならないのです。

あわせて知っておきたい単語①「同級生」「同期」

ここまで先輩と後輩という日本特有の人間関係について書いてきましたが、ここからは、「先輩」「後輩」と同じくらい日常生活でよく使う人間関係に関する日本語を5つ紹介します。

まずは「同級生」と「同期」です。どちらも自分と同じ立場の人を指しますが、実際には以下のような微妙な違いがあります。

同級生:主に小学校から高校で同じクラスまたは同じ学年の人
同期:入学、卒業、入社の年が同じ人

「同級生」は英語のclassmateと意味が同じです。「同期」と同じ意味の英単語はなく、入学、卒業、入社の年が同じ人は、学校や会社が違っていても同期と言います。

あわせて知っておきたい単語②「上司」「部下」「同僚」

次にビジネスの場面でよく使う「上司」、「部下」、「同僚」という単語を紹介します。これらは、日本特有の関係ではないので、皆さんの国にも似たような言葉や関係があるかと思います。

まず、「上司」は「先輩」とは異なり、単に先に入社したというだけではなく、自分より職位が上の人のことを指します。ちなみに、英語では “boss” スペイン語では “jefe/a” にあたる単語です。
そして「上司」の反対が「部下」、つまり「上司」より職位が低い人を指します。こちらは、英語では “subordinate” スペイン語では “subordinado/a” にあたる単語です。

最後に「同僚」は、職位が同じぐらいの人を指します。英語では “co-worker” や “colleague” スペイン語では “colega” にあたる単語です。

まとめ

今回は日本社会でよく使われる人間関係にまつわる単語をいくつか紹介しました。特に「先輩」「後輩」のような日本特有の人間関係は理解するのが難しいかもしれませんが、自分と周りの人との関係に当てはめて考えてみるとわかりやすいと思います。

今回紹介した単語はどれも日本語話者との会話の中でよく登場するので、ぜひ覚えて使ってみてください! たとえば、もし学校や会社に日本人の先輩がいたら、せんぱいと呼んでみてください。喜んでくれると思います。