日本人の名前の呼び方を勉強したけど、複雑なルールを覚えられない人もいるのではないでしょうか?

確かに色んなルールがあって覚えるのが大変ですが、とりあえず姓+さんの呼び方だけ覚えておけばOKです。

この記事では、日本人の名前の呼び方の基本を紹介し、姓に「さん」を付けて呼べばだいたいOKな理由を説明します。

この記事の漢字にふりがなを付けて読みたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。

日本人の名前の順番

日本人の名前は姓に「さん」を付けて呼べば良いと書きましたが、そもそもどれが姓か分かりますか?

日本人の名前は「姓(名字)-名(下の名前)」の順番で表記するので、先頭にある方が姓です。また日本語で自己紹介するときは、姓だけを伝えるのが一般的です。

例:山田 花子
山田が姓、花子が下の名
一般的な自己紹介:初めまして、山田です。

なお日本で生まれた日本人はミドルネームを付けることが法律で認められていないため、基本的にミドルネームは持っていません。
※外国で生まれてミドルネームを持っている日本人の場合は、ミドルネームを付けることが認められています。

「姓-名」で名前を表記する国は世界的に珍しく、日本の他にはアジアの中国、韓国、モンゴル、ベトナム、ヨーロッパのハンガリーなどがあります。

日本人が英語で自分の名前を書くときは順番が変わる

日本語では「姓-名」で名前を書きますが、多くの日本人は、英語で自分の名前を書くとき「名-姓」に順番を変えるので注意が必要です。

日本語:山田 花子
英語:Hanako Yamada

日本のビジネスパーソンの名刺には、下のように日本語と英語で名前の順番が逆に書かれていることがよくあります。HanakoではなくYamadaが姓です。

これは、19世紀後半(日本は明治時代)に日本でローマ字が普及した際、欧米の形式に習って「名-姓」の順番にしたことが始まりです。2000年ごろから、学校の英語の教科書では「姓-名」の順で名前を書くように変わりましたが、現在でもほとんどの人が「姓-名」の順番で書きます。

2019年、日本政府は日本人が英語で名前を書くときは「姓-名」にすべきと発表し、2020年1月から、パスポートなどの公文書では「姓-名」の順番で英語表記することを決めました。

また報道機関にも「姓-名」の順番で英語表記するよう要請しました(例:Prime Minister Kishida Fumio)。2021に開催された東京オリンピックでは、日本人だけでなくすべての選手の名前が「姓-名」の順番で表記されました。

この変更の理由は、「姓-名」で名前を表記する日本以外の国では、英語で名前を書くときも「姓-名」で書くことが常識であることと、今後進む国際化には自国の文化を尊重すべきだからだそうです。

残念ながら日本政府の意向は一般的にあまり浸透しておらず、現在でも多くの人が「名-姓」の順番で英語表記します。

それどころか、パスポートは「姓-名」、クレジットカードは「名-姓」のように、両方の表記が混在して、余計にわかりにくくなっている場合もあります。

日本人の名前の呼び方の基本ルール

日本語では、相手の姓のうしろに敬称を付けて名前を呼ぶのが基本的なルールです。呼ぶ相手によって敬称が変わり、まとめると以下の表のようになります。

名前を呼ぶ相手呼び方
親しい間柄ではない大人姓+さん
例:山田さん
(ビジネスで)自分の上司姓+役職名または役職名のみ
例:山田部長または部長
(ビジネスで)自分の同僚姓+さん
例:山田さん
(ビジネスで)取引先姓+役職名または姓+さま
例:山田部長または山田さま
働いているお店のお客さま姓+さま
※名前が分からない場合はお客さま
例:山田さままたはお客さま
先生姓+先生または先生
例:山田先生または先生
大学の教授姓+先生または先生
例:山田先生または先生
※まれに姓+教授教授と呼ぶ場合もあります。
例:山田教授または教授
医師姓+先生または先生
例:山田先生または先生
女の子(小学生ぐらいまで)名+ちゃんまたは姓+さん
例:花子ちゃんまたは山田さん
男の子(小学生ぐらいまで)名+くんまたは姓+くん
例:太郎くんまたは山田くん
友達特にルールなし
姓+さん名+さん名+ちゃん名のみ姓のみあだな
例:山田さん、花子さん、花子ちゃん、花子、山田、やまP

敬称に迷ったら姓に「さん」を付けて呼べばだいたいOK

日本人の名前の呼び方で重要なことは、必ず敬称を付けて呼ぶことです。家族や親しい友人以外で、敬称なしで相手の名前を呼ぶことは失礼にあたるので気をつけましょう。

どの敬称を付けるか迷ったときは、「さん」を付けて呼べば大丈夫です。

「さん」は英語の「Mr.」「Ms.」にあたる敬称ですが、男女どちらにも使えます。また「Mr.」「Ms.」とは違い、名にも付けられます。

OK:山田さん
OK:山田花子さん
OK:花子さん

基本のルールは姓+さんですが、たとえ姓と名前を間違えて、名+さんと呼んでしまっても大丈夫です。多くの日本人は外国の方はファーストネームで名前を呼び合うことを知っているので、それほど失礼だとは思わないでしょう。

ビジネスでは「さん」より丁寧な敬称の「さま」を付けますが、「さん」でも問題ありません。ただし、相手が社長など組織の代表者の場合は、なるべく姓+役職名(例:山田社長)で呼んだ方が良いと思います。

まとめ

日本語で相手の名前を呼ぶときは、基本的に姓に「さん」を付ければOKです。話すときだけでなく、メールを書くときも同じなので覚えておくと良いと思います。

姓+さんを覚えたら、少しずつ他の呼び方も覚えてみてください。